本作品《原風景の道》の「原風景」とは、(懐かしさを伴うことが多い)人の心の奥にある原初の風景の意で、幼年期や青年期の記憶にある風景や心のイメージを指す。実在する風景であることもあれば心象風景であることも多い。今回は青年期を過ごした高校から、植田氏や私の地元をつなぐ(そして通学路でもあった)幹線道路をイメージして作曲した。
作品は前半と後半の2部で構成されている。前半は高校生当時の原風景としての幹線道路を、後半は同じ道の現在の姿を、それぞれイメージした楽想である。
前半部分は、当時の幹線道路をイメージし、旋律的なあるいは詩的な間の取り方で構成している。記憶の中で心象風景としていくらか美化されている部分もあるだろうが、故郷、郷愁の雰囲気を感じていただきたい。幹線道路なので田畑ばかりの自然豊かとまではいかないが、幹線道路を外れると適度に自然が残り、車社会を象徴するようなそれなりの台数の駐車場を持つ店舗が立ち並び、高いビルがなく視界が広い、そんな地元感、田舎感をイメージしている。
後半はうってかわって、全体的にリズミックな楽想となっている。現在の幹線道路を車でドライブしつつ、当時と様変わりした風景を噛みしめながら、それでも地元を懐かしむような、そんなイメージで作曲した。現在の幹線道路の様相は、大型のショッピングモールが出来たり、コンビニやファストフード店、全国的に展開しているチェーン店が増えたりしており、交通量も増えて雑然とした印象を持つ。一方で当時から変わらない店や風景もあり、私もこの道を通ると「地元に戻ってきたな」と懐かしさを感じずにはいられない。そんな印象を時には旋律的に、時には技巧的に、作品に込めている。
この作品の英題は《The Road in Your Nostalgic Landscape》としたが、私の原風景と他人のそれはもちろん異なるものである。作品は作者の極めてパーソナルな記憶や体験からスタートしているが、あなた自身の体験と重ね合わせながら、奏者であるあなただけにしか演奏できない作品にしてほしい。
タイトル:原風景の道
作曲:得本和音
グレード:5
演奏時間:約9分00秒
商品仕様:ソロパート譜+ピアノ伴奏譜
▼楽器編成
Soprano Saxophone
Piano
▼サンプルスコア
▼参考音源
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