キリスト教のミサ(礼拝)において「神に栄光を」と歌い出されるこの言葉、それだけを取り出しても、繁栄、栄華、名誉、賛美と訳されます。私達の心の内に、出来れば華やか・晴れやかでありたいという祈りの感覚が自然に宿るのは、生きる事への前向きなこだわりのひとつなのだと思うのです。
本作は、ディートリッヒ・ブクステフーデ(1637-1705)の「小ミサ曲(Missa Brevis)」第2曲目「グローリア」を素材にして創作しました。
原作は「天のいと高きところには神に栄光あれ」の詞にある通り、高音からの下行形を、また「神よ」と告げる詞には上行形を、というシンプルな仕組みを巧妙に使っています。原作の多声部(ポリフォニー)展開を活用しながら、吹奏楽による音色の多彩さと立体的な音響構成も企て、(特定の宗教観にはこだわらず)これからも豊かに音楽が響きわたりますようにと願いを込めて、絢爛な音楽となるよう務めました。
ブクステフーデは、かのバッハが若い時に心酔したというバロック音楽の作曲家。私自身も音楽を、吹奏楽を始めた時期に鮮烈な出逢いを覚えた作家のひとりなのです。
2023年 神戸女学院大学音楽学部ウインドオーケストラ委嘱作品
初演・神戸女学院大学音楽学部ウインドオーケストラ 2023年12月1日
指揮・八木澤教司(同大准教授)
タイトル:グローリア〜ブクステフーデの主題による幻想曲
作 曲:福田洋介
演奏時間:約7分45秒
難 易 度:4
【楽器編成】
Piccolo / Flute 1,2 / Oboe / Bassoon / E♭Clarinet / B♭Clarinet 1,2,3 / Bass Clarinet / Alto Saxophone 1,2 / Tenor Saxophone / Baritone Saxophone / Trumpet 1,2,3 / Horn 1,2,3,4 / Trombone 1,2,3 / Euphonium/ Tuba / Double Bass / Timpani / Snare Drum / Bass Drum / 3 Tom-toms / Pair Cymbal / Suspended Cymbal / Triangle / Tambourine / Wind Chime / Glockenspiel / Piano / Harp
▼スコアサンプル