これまでティーダ出版さんからの依頼で、金管バンドのための作品をいくつか書いてきました(出版社の作品リストをご覧ください)。そのどれも、楽器をはじめてからあまり時間の経っていない児童や生徒でも演奏できるように気をつけてきたつもりです。そうすると、その音楽の内容自体も比較的明るい響きが多くなってしまっていました(わたしの不勉強のせいです)。みなさんがよく知っているように、音楽はなにも明るいものだけではありません。いわゆる短調が導き出す響きは、一般に暗いものと言われています。わたしは明るい響きの作品よりも暗い響きの作品を好む傾向にあるので、今回は久しぶりに金管バンド向けに少しだけ暗さのある作品を書いてみました(しかし、演奏すること自体の難易度はこれまでの作品とほとんど変わらないはずです)。
「インフィニット・クロニクル (Infinite Chronicle)」を日本語にするならば、「無限の物語」といったところでしょうか。一見、なにか物語があるかのような題名に見えるかもしれませんが、わたし自身はこの作品に特定の外的な物語を付ける意図はありませんでした。これまでの多くの作品でもそうですが、「解釈は(演奏者や聴き手に)開かれている」という考えで作曲をしているので、依頼主からの希望などがない限り、作品に特定の意味や物語を持たせないようにしています。しかし、そうしたことで逆に「無限の物語」という題名を回収することにもなってしまったのですが...。
作品は1回聴けばわかる明確な構造を取っています。その中でどのような物語を紡いでゆくのかは演奏してくださるみなさん次第です。その可能性は無限に広がっているはずですので、色々な解釈を試して、楽しんでいただければ嬉しいです。
(石原勇太郎)
タイトル:インフィニット・クロニクル
作 曲:石原勇太郎
演奏時間:約5分50秒
難 易 度:3
【楽器編成】
(E♭Cornet) /B♭Cornet 1,2,(3) / (Flugelhorn) / E♭Alto Horn 1,2,(3) / Trombone 1,2,(3) / (B♭ Baritone) /Euphonium / Tuba / (Timpani) / Snare Drum / 2 Toms / Wind Chimes / Bass Drum / Glockenspiel / Xylophone / Tam-Tam / Suspended Cymbals / Claves / Sleigh Bells / Triangle
▼スコアサンプル
▼参考音源
準備中