この曲は、以前出版した「秋風の旅人」という作品の続編のようなイメージで書き上げ
たものです。
漂泊の俳人・種田山頭火の旅の記録によると、「秋風の旅人になりきっている」という自由律俳句を詠んだのは11月の初旬、大分県にある湯平温泉で。その後旅を続けて、生まれ故郷の山口県防府の一歩手前、下関に着いたのが11月の下旬。ここで故郷を懐かしく思いながら(決して良い思い出ばかりではなかったのですが)「冬空のふる郷へちかづいてひきかえす」という句を詠んでいます。今回の作品は、この句が元になっています。
タイトルも、当初は山頭火の句を元にして「冬空のふる郷」としようかと思っていたのですが、 英題を考えていた時に「冬空のノスタルジア」という邦題を思いつき、これに決定しました。
曲の主題は、続編ということで「秋風の旅人」を彷彿とさせるものもあります。ただ、今回は遠くの冬空を見つめるように静かに始まります。冬の初めに旅をしている様子を描きつつ、中間部では懐かしい故郷を思うように静かにメロディが歌われます。しかし、故郷に帰ることはせず、旅を続ける決意をして、再び歩き始めるようにしてエンディングを迎えます。「秋風の旅人」共々、多くの方々に親しんでいただけたら幸いです。
タイトル:冬空のノスタルジア
作曲:足立正
グレード: 3
演奏時間: 約6分50秒
▼楽器編成
E♭Cornet/ B♭Cornet1.2,3 / Flugelhorn / Alto Horn 1.2.3 / B♭Baritone / Trombone 1.2.3 / Euphonium / E♭Bass / B♭Bass / Timpani / Suspended Cymbal /Snare Drum / Wind Chime / Bass Drum / Glockenspiel
▼スコアサンプル
▼参考音源