「一水四見(いっすいしけん)」とは仏教の考え方の一つ「唯識(ゆいしき)」のものの見方で、立場によってものの見方が変わるという意味である。
その経典である『瑜伽師地論(ゆがしじろん)』には、「人間見水 天見瑠璃 餓鬼見火 魚見宮殿。」とある
という。人間にとってはただの水であっても、天人には瑠璃(ガラス)に見え、餓鬼には火
(血の池、血膿と訳すものもある)に見え、魚には宮殿(住 処)に見える、つまり「認識の
主体が変われば認識の対象も変化する」という意味になる。ここから着想を得て(作品とす
るために順番を組み替えながら)作曲した。
1.天見瑠璃
ファンファーレやマーチ風の、見渡した広がりをイメージして作曲。
2.魚見宮殿
住処ということで「日常」をテーマに、ゼクエンツ(シークエンス)を意識して作曲。
最後は水底から水面に急上昇、飛び跳ねるイメージ。
3.餓鬼見火
火、炎、血などの訳があるが、「餓鬼にとっては毒となる」という理解から、うめき声や
苦しむ声などをイメージした、きれいに出ない限界的な音域やミュートを用いた音色を
用いて作曲。
4.人間見水
「ただの水」のようにそこにある、我々にとってそれは音楽である、というイメージから、
コラール風の音楽に作曲。
タイトル:「一水四見」のための音楽 -金管六重奏のための-
作 曲:得本和音
グレード:4.5
演奏時間:約9分
レーベル:ティーダ出版
▼楽器編成
Trumpet 1/2
Horn
Trombone1/2
Tuba
▼スコアサンプル
▼参考音源