▼サンプルスコア
URIZUN=うりずん /”潤い初め”が語源の季語。枯れた大地や空気に潤いをもたらし、万の生命にエネルギーを与え、心地のよい暖かな南風が木々を揺らす頃合い/
この美しい言葉は、楽曲着想の素材として多くのインスピレーションを与えてくれる。
8人のトロンボーン奏者のためのアンサンブル作品へ挑むにあたり、この魅力ある声楽的な楽器を通して、日常的で穏やかな懐かしい音の風景を描きたいと思った。そこで、よく知られた沖縄民謡の断片と、作者自身による創作とを無造作にチャンプルー(混ぜこぜ)しつつ、尊い故郷への眼差しを、"URIZUN"というタイトルに託し、五線上に表現することにした。
細切れに鳴り響く琉球音階の旋律によって導入される沖縄民謡の断片。
遠い記憶で聴いたメロディが、ふと脳内再生される瞬間のように、聴こえては消え、また、現れる。それは、降ったり止んだりするカタブイのごとく、取り留めもなく再生される。
混沌とつづく旋律は、デフォルメされた沖縄民謡の節々へと脈々と繋がれる。夏の終わりにあちらこちらで聴こえてくる鎮魂歌のリズムのエネルギーが、季節の終わりを告げる轟として鳴り響く・・・。(津嘉山梢)
タイトル:"URIZUN” For Trombone Ensemble 〜沖縄民謡の断片による狂詩曲〜
作曲:津嘉山梢 Kozue Tsukayama
グレード:3.5
演奏時間:約8:00
レーベル:ティーダ出版
【楽器編成】
Trombone 1/2/3/4/5/6/7/Bass Trombone